久しぶりシリーズ2 「変わりゆくリゾート」 |
久しぶりに、本当に久しぶりに熱海へ泊まりに行った。
通過することはあっても、泊まったのは遥か昔。
ホンの気まぐれから、前々日に行くことに決めた。
昼前に到着すると、観光客が土産目当てに賑わっている駅前商店街を越えて、海の近くへと下る。
海の近くに来たはずなのに、海鮮ではなくランチで行くことにしたのは洋食屋。
目的の店は開店前なのに既に客が並んでいる。
しばらく経つと、出てきた店主の数える指が自分の手前で止まる、席数でアウト。
20分後に開店する隣の二号店を進められ、席に着きオーダーすれば、同じ時間に入った客が食べ終わってもこちらはまだ出てこない。
文句を言ったら1分程度で出てくるところがまた気分を悪くさせる。
頭に来た状態で食べたビーフシチューは結構美味しくて、それがまた気分を悪くさせる。
バス送迎の途中、道端で携帯を片手に痙攣を起こしている男が倒れている。
宿泊客は「大丈夫かな?」などとのんきに言っているが、当事者になりそうなバスの運転手はシカトして自分の業務を進める。
約20年前に出来た崖上の海沿いのホテルは、空間が広く快適な雰囲気を漂わせている。
抽選付きで予約した内容は、部屋のグレードアップ・貸切風呂・アワビなど、自分ではこれがいいと思っていた中吉の貸切風呂が当たる。
人気の日の出を拝める早朝は埋まっていたので、日が落ちる時間帯を狙って17時にする。
部屋は前面全開窓で一面海が見渡せる、昨年泊まった静岡の宿に似ている。シンプルだが天井が高く広い空間でこちらの方が快適。
下のスペースではオーシャンビューを臨みながら、無料で2杯のカフェブレーク。
旧館への連絡路を越えるとそこは「昭和」が漂うまた違った空間、看板のフォントやゲーム機に懐かしさを感じる。
結局メダルはすべて飲み込まれてしまったが、単純なひとときの楽しさを味あわせてくれた。
11Fで部屋と同じフロアにある貸切風呂は室内で温泉ではないが、贅沢な夕暮れを与えてくれる。
予想通り、天気のいい空は青からオレンジに変わり黒へと変化するタイミングを風呂の全面窓から見せてくれた。
食事はフレンチコース、悪くない。
朝、カーテンを開けるとあまりの眩しさに涙が出そうになる、今日も快晴だ。
ありきたりな朝食を終え、旧館の露天風呂に入ると脱衣場の人ごみに対して、少し小さめの湯船は貸切。
目の前の海と波の音を聞きながら幾ばくかの時を過ごす。
ホテルのロビーから10分も急坂道を歩いて辿り着いた秘宝館は、実は泊まった部屋から非常口を1F分登って伝っていけば1、2分で行けるところにある。
教えてくれよ!フロントレディ。
出来た当時は最新鋭だったと予想されるこの館も今となっては旧態然となった狭いエロ屋敷。
以前行ったときは面白かった気がしたのだが・・・恐らく今後行くこともあるまい。
昼飯は昨日の店からそう遠くないイタリアン。
昨日の嫌な気分を思い出していたが、クーポンで急遽出されたものも含めた大量の新鮮魚介の前菜、変わった生地のピザなど、満足の行くものを食せた。
親以上の代に新婚旅行で繁栄を極め、バブルを境に没落したリゾート地のイメージを持っていた熱海。
実際に行ってみると、一部ではあるが、少しずつ復興してきているような雰囲気が漂う。
確かに廃墟も存在するのだが、生まれ変わっている際中の様な感じもする。
放っておいても客が来ていた時代とは打って変わり、破産した老舗旅館が格安ホテルに変わったり、泊まったホテルも悪くなかった。