台風に向かって |
北九州に着いて、萩石見空港から帰る2泊3日。
萩が最終目的地で、どうせならほぼ縁のない山陰エリアを回るという計画。
生憎、台風が到来している。
1週間ぐらい前から天気予報とのニラメッコ。
あまり台風の影響なく北九州に無事到着。
夕方ホテルの部屋に入るとイキナリのJ−Alart、まだ風も雨も来ていない。
俺からするとルースターズの本拠地としての印象が強い北九州市は、一地方都市と思っていたが予想以上にかなり大きく広がる街だった。
小倉駅は立川駅をさらに大きくした感じ。
台風が迫ってきている割には人も多く出ている街中をブラついてみる。
川を渡り、「小倉城」へ。
リバーサイドの特殊なデザインビルはテナントの平凡さとは相反して興味深い。
商店街をブラつくと、見つけた「旦過市場」。
ここの昭和感はとてもオモシロイ。
夕方の台風前でほぼ閉店状態だったが、きっと普段は百は越えているであろう商店には所狭しと商品が並べられて活気があるのだろうと思われる。
「やきとりルースターズ」は閉店したため、夕食にはちょっと待たされた回転ずしで真鯛やのどぐろの炙りなどをに舌鼓。
ホテルに帰ってしばらくすると遂に雨風がやって来た。
翌日はレンタカーで本州へと渡る、台風との並走コース。
手違いで前日からの予約になっていた乗り捨て予定のレンタカーを手に入れ、関門橋を渡る。
海峡手前のインターチェンジに立ち寄るが、改修工事中のため、景観は良くない。
橋を予想よりあっという間に通り過ぎてしまったので、下関ICで降りて橋へと戻ってみるが、駐車スペースも見つからず、橋の下をくぐったのみで次の地「角島」へと向かう。
何となくどこかのTV番組かネットなどで目に入っていたような記憶がある「角島」。
写真で見ると青い空と南国感漂う湾曲のある大橋、どうせなら行ってみたいとこの予定を考えた。
台風が九州に上陸した頃、通行止めになる前に往復しなければと思い、着いた早々に橋を渡る。
「何じゃこれは!?」、何かの競技のスタートラインの様な橋の手前に驚愕しながら、高所恐怖症ならば少し厳しいような素晴らしい景観を眺めながら、車のほとんどいない雨の降る橋を渡る。
島すぐの駐車場に車を止め、ポンチョを着て対岸の本州を眺めるが雨風はかなり激しくなっており、通行止めで島に1泊する訳にも行かないので、数枚の写真を
撮って本州へと戻る。
本州側からも景観を楽しむ、こちらからの方が景観はいい。
青空と南国ムードはほとんど味わえない悪天候劣悪な状況でも、立地を考慮すると二度と来ることもないはずなので、後悔は残したくない。(危険は冒さないが・・・)
「元乃隅稲成神社」も何となくどこかのTV番組かネットなどで目に入っていたような記憶があり、次の地としていた。
ただ、台風最接近時の上、写真で見る限り、崖にありそうな雰囲気だったので、どこまで行けるか不明なまま行ってみる。
駐車場に止めて、連なる鳥居を見下ろすと、ポンチョが意味をなさない位の雨風が吹き荒れている。
ツレは安全のため、待機して、自分のみ鳥居をくぐり下へと降りてみる。
鳥居の中はほとんど風が無かったが、降りた先の岩場は接近するには危険すぎる――「龍宮の潮吹」には一切近づかず、到着後3分で上へと戻る。
このときは4組ぐらいしか来ていなかったが、実は休日になると“駐車待ち4時間”となるような人気のあるスポットらしい。
3連休中のこの日、もし晴天だったら断念した可能性大なので、得したのか??
他2組と合流するため、目的地の萩市へ。
萩ではとりあえず合流前に松蔭神社(松下村塾)と反射炉の世界遺産めぐり。
合流組にとっては、東京で言う日光の様なものなので、単独で先に行っときたかった。
松下村塾は一時期幕末の本を読み漁った者としては絶対に抑える必要のある場所、反射炉は単にそこから近かったため。
松下村塾は思いの外小さいのだが、逆にここから何かが始まったという意志の大きさを感じてとても感慨深い。
隣の松陰神社宝物殿至誠館では松蔭の絶筆書物など展示。
反射炉は・・・人により評価は分かれると思うが、その建造物が目的とはなりえないだろう。
この日の宿は由緒正しき「北門屋敷」、世界遺産そのものに含まれている様だ。
ここでも台風の影響と思われる出来事が。
キャンセルが出たのか、最安の部屋からグレードアップしてくれた。
更に入浴後、その部屋の窓からビールを飲みながら明るくなった空を眺めていたらクリアな虹が、そしてしばらくするとその外側に更に薄い虹が――2重の虹など今まで見たことがない。
朝、台風一過の空は雲があれど晴れている。
朝食を済ませ、レンタサイクルで萩城跡へと出向き、情緒あふれる古い街並みを眺めながら、桂小五郎邸(あえてそう呼ぶ!)、一番好きな幕末人物の高杉晋作邸と訪れる――萩の町は規制で2Fまでの建物しか建てられない。
チェックアウト後は行く前に何となく見つけた「ホルンフェルス断層」へ。
快晴で荒波にもまれる断層の崖は迫力があり、とても素晴らしい景観。
知名度が上がるとここも駐車場待ちなどが発生しそうな予感。
コストパフォーマンスが高い海鮮の昼食を終えると、益田市で2組と別れ、レンタカーを返して萩石見空港へ。
離陸3時間前に着いて、有料待合室でゆっくりしようと思っていたのだが・・・
空港には関係者含め、ほとんど人がいない。待合室などありはしない。
レンタカー屋が不思議な受け答えをしていた意味がここで分かる。
手持無沙汰を解消する方法は、歩いて行ける距離に唯一ある「蟠竜湖」。
30分のウォーキング後、ボートに乗る気力も起きず、鯉に餌をやって帰る。
発着便の少ない空港に早めの入りは要注意。
台風に全て左右された2泊3日の旅行だった。
立地的に一生に二度目があると思えないかの地。(実は縁も所縁もない島根県は3回目だが・・・)
しかし、デメリットもあればメリットも多かった旅行だった。
「飛行機飛ばなきゃ行けない、帰れない可能性。」「景観の一番いい条件の時に行けない。」「危険で行ける範囲が狭まる。」「欠航便の分の乗客が増えて混雑」でも、「道も景勝地も空いている。」「3連休でも渋滞を気にする必要がない。」「部屋のグレードアップ。」「2重の虹(原因か不明)」「台風一過で天候が好転」
予定が1日早ければ帰れない可能性があった。
予定が1日遅ければ来れない可能性もあった。
でもそもそも3連休に台風が来なければこんな心配不要という本末転倒。
メデタシ、メデタシ。