ニュールンベルグ裁判 |
正直な話、存在を知らなかった映画であり、題名が「ニュールンベルグ裁判」。
3時間もあるのでとお堅いドキュメンタリーか何かだと思った。
「得意なタイプの映画ではないな・・・」
しかしCinemascapeで4評価以上(5段階)であったので“仕方なく”録画予約を行っただけである。
見る前は完全にそう思っていた。
普段ならば3時間映画で興味が薄い映画だと、しばらくHDに入りっぱなしで、見るまでに月日が掛かるパターンなのだが、この前ポツンと時間が空いたので何の気なしに見始めた。
出だしのテロップでバート・ランカスターの文字が目に入ったので、ドキュメンタリーでは無いことはすぐに分かる。
で結果から言うと、涙が出るような類の映画ではないのに、酒も入っていたせいか何だか感情が高揚して少し涙が出てしまった。
実話に基づいているかどうか知らないが、そんなことは些細なことに思える素晴らしい映画だ。
裁判長が仲間意識にも似た感情を持って元法務大臣を法の下に裁く矛盾、アメリカとドイツの各立場から唱える正論(戦争責任)による矛盾、加害者民衆の矛盾、アメリカが主張するドイツの犯罪行為を冷戦で同じ立場から行おうとする矛盾、国の利害関係による矛盾、観る側も一緒に時間を忘れて数々の葛藤に苛まれる。
そして素晴らしい脚本の下、裁判長・検事・弁護士・被告、すべての役者が出来得る限りの演技で表現している、3時間などあっという間だ。
特に裁判長役のスペンサー・トレイシーはすごい役者だ。
「招かざる客」ぐらいでしか印象が無いのだが、静の演技を顔や仕草等で表現する力量は際立っている。
途中、「マレーネ・ディートリッヒ(実際にナチスドイツ時代にアメリカへ亡命したらしい)かな?」「モンゴメリー・クリフトっぽいなー?」と来て「ジュディ・ガーランドか!?」で、もう我慢が出来ずネットで調べたらすべてその通りの配役だったので、とても豪華なキャスティングだったことが分かる。
「ぜひ一度見てほしい。」っと言いたいところだが、DVDは未発売のようである。
それだからまたオウムのように繰り返す「クソみたいな映画のDVDが売られてい・・・」